「いいよ。飼っても。」

子どもたちが犬を飼いたいと言い始めてから4年。
「結婚しても、犬を飼おうね」と、まだ結婚前の初々しい私と夫が約束をしてからは実に19年。

家族みんなの夢がかなう、その決断を夫がくだしたのは6月のとある日曜日。

今までどんなに懇願しても頑として首を縦にふらなかった夫の口から、半ば口癖となりつつある子どもの「犬飼おうよ～」の言葉に、なんの前触れもなく、ごく自然にこぼれてきたのが冒頭の言葉でした。

「え？ほんとに？？」

催促した娘とそばにいた私が思わずハモッちやうくらいに。
それはそれは衝撃的な出来事だったのです。
けれど…。

うれしい反面、長い間約束を反故にされてきた私としては、にわかに信じられず、

最近になって激化している、私や子どもたちからの「犬を飼いたい」口撃に辟易して、その場しのぎの口約束？
それとも、抵抗する気も失せてしまったのかしら？？

と疑念がつきません。

でも…ひょっとしたら、本気なのかもしれない。
だったら気が変わる前に、どんどん話を進めて、もっともっと本気モードにしてやろう！

そんな思いがムクムクと湧き上がってきて、その日から私の頭の中は、寝ても覚めても「犬一色」になっていったのでした。